STEP2.退職手続き

事業計画をたてて、個人事業の運営が現実的なものになったらいよいよ退職手続きです。
会社によっては会社員と個人事業主の「二足の草鞋」を認めている場合もありますが、一般的には個人事業を開業する場合は会社を辞める必要があります。
たとえ不満のある会社だったとしても、これまでお世話になってきたこと、また、新たに始める事業の内容によっては今後もお世話になる可能性も十分あり得ることをふまえて、誠意と時間的余裕をもって手続きを行い円満退職を目指しましょう。

退職手続きの流れ

会社規定で退職の意思表示はいつまでに必要、といったことが定められているかと思いますので、遅くともその期日までには退職したい旨を上司に伝えましょう。
できれば、余裕をもって業務の引き継ぎ等を行うため退職の2か月前までに意思表示するのが理想です。

2か月前
退職の意思表示
直属の上司に退職の意思を伝える。
引き継ぎや会社の都合等をふまえて上司と退職日について相談。
引き継ぎ資料の作成
後任者にできるだけ迷惑がかからないよう、業務の流れや現状などをわかりやすくまとめる。
実際は退職ギリギリまで忙しくて資料作りの時間がとれない、なんてこともよくあること。普段から周囲と情報の共有、業務のマニュアル化等を行っておくのが望ましい。
退職願の提出

会社によっては書式や提出方法等が決まっている場合もあるのでそれに従う。
特に決まった様式が無い場合は以下を参考に手書きで作成すること。

退職願の書き方(サンプル)

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  • 退職日は事前に上司と相談して決めたうえで書くこと
  • 用紙は、白無地のB5用紙あるいは罫線が入っている程度のシンプルな便箋を使用
  • あとから書き換え等できないように黒のボールペン(または万年筆)で書く
  • 退職理由は「一身上の都合」とだけ書けばOK
    (細かい理由は直接上司に伝えているはずなので退職願には書かない)
  • 手渡すのは自分の直属の上司でも、退職願の宛先は代表取締役(社長)とすること
  • 退職願は3つ折りにして封筒に入れ糊付けして提出する
    封筒の表面には大きく「退職願」、裏面には「自分の所属部署と氏名」を記載すること
退職所得の受給方法に関する書類を提出

退職前に「退職所得の申告書」(退職所得の受給に関する申告)を会社に提出しておけば、会社側であらかじめ所得税・住民税を差し引いた退職金を受け取ることができます。
この場合は退職所得についての税金の手続きはここで完了です。

退職所得の申告書を提出しなかった場合は次の年の確定申告の際に、自分で確定申告を行う必要があります。
退職した年に開業した場合はどちらにせよ確定申告を行いますが、上記書類を提出しておけば退職所得の税金の計算等の手間が省けますので、やはり提出しておいた方がよいでしょう。

書類のフォーマットおよび書き方については下記ページをご確認ください。
退職所得の受給に関する申告(退職所得申告) - 国税庁

2〜3日前
退職の挨拶
会社でお世話になった方々、および取引先の関係者の方々に退職の挨拶を。
退職当日
  • 身辺の整理、清掃
  • 貸与品を返却

退職届と退職願の違い

会社によっては退職届も退職願も同様に扱われる場合がありますが、実は意味合いが違います。

「退職届」とは、退職の最終意思決定を通告する書類であり、届けが受理されると特別な事情が無い限り撤回することはできません。

対して「退職願」は、退職したい意志があることを会社に伝えるための書類であり、会社が退職を承諾することで退職となります。退職届とは異なり会社が承諾するまでは撤回することも可能です。
どちらを使用しても退職することには変わりませんし書類の内容にもほとんど違いがありませんが、退職届だと会社に選択権の無い一方的な書類となり心証を悪くする可能性もありますので、特に指定が無い場合は退職願を使用するのが無難でしょう。

ちなみに、公務員や会社の重役(取締役等)の場合は「辞職願」というタイトルで書類を作成します。

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