事業を行う場合、自分で1年間の損益を計算して確定申告をしなければなりません。
事業による所得の確定申告方法には青色申告と白色申告があります。青色申告の方が税金面で有利とはよく言いますが、では具体的に何が違うのかみていきましょう。
青色申告は、経費として計上できる額が白色申告より多かったり、白色申告にはない事業所得の控除(青色申告特別控除)があります。
これにより所得税、住民税、事業税の税額が少なくなるほか、所得金額から算出する国民健康保険料等も安くなるメリットがあります。
青色申告の特典には様々なものがありますが、以下に代表的な特典をいくつか紹介します。
青色申告のもっとも大きな特典といえるのがこの青色申告特別控除です。
簿記方式によって、65万円または10万円を事業所得から控除することができます。
ただし、青色申告特別控除前の所得金額(=[収入]-[経費]-[各種引当金・準備金等])が、以下の控除金額より少ない場合は、その所得金額=控除額となります。
例えば複式簿記で帳簿つけを行っており青色申告特別控除前の所得金額が60万円の場合、青色申告特別控除額も60万円となり、結果、事業所得は0円です。
年の途中に開業した場合でも、控除額を月割りする必要はありません。12月に開業したとしても、青色申告の申請が承認されていれば上記が全額控除できます。
青色申告の場合、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書(準備中)」を提出し承認されていれば家族従業員への給与が全額必要経費にできます。
ただし、給与額が適正でないと判断された場合は税務署から指導が入る場合もありますのでご注意ください。
尚、白色申告の場合は全額を必要経費とすることはできませんが、「専従者控除」として配偶者は86万円、その他の親族は一人につき50万円を上限とする控除ができます。
開業してしばらくは、経費が収入を上回る赤字経営が続くこともあるでしょう。
そんなとき、青色申告なら赤字を翌年以降最長3年間の所得から差し引くことのできる「純損失の繰越控除」という特典を受けることができます。
例えば1年目が100万円の赤字で2年目が100万円の黒字だった場合、1年目の赤字分を繰り越して2年目の黒字分と相殺できるため、2年目の所得が0円となり税金がかかりません。
尚、事業所得の赤字を他の所得の黒字と相殺できる「損益通算」は、青色申告・白色申告共にできます。
純損失の繰越控除および損益通算について詳しくは赤字となった場合のページ(準備中)をご確認ください。
掛けによる取引を行う場合、商品(サービス)だけを先に提供し支払は後日ということになりますので、顧客の都合によって代金を回収できなくなるリスクがあります。
「貸倒引当金」の設定とは、売掛金や受取手形の回収が翌年になってしまう場合に、回収不能のリスクを軽減するため売掛金・受取手形の一部を費用として計上し所得から減らすことです。
翌年、無事に売掛金や受取手形を回収できたなら、翌年の決算時に貸倒引当金の戻入処理を行い翌年の所得とします。
尚、白色申告の場合は貸倒れることがほぼ間違いない場合にのみ、貸倒引当金を設定することができます。
通常、10万円以上の備品・建物等固定資産を購入した場合は一括して経費計上することはできません。
ですが青色申告の場合は30万円未満の固定資産について、一度に必要経費にすることのできる特典が受けられます(少額減価償却資産)。
ただし、少額減価償却資産とできる固定資産の合計額は1年あたり300万円までとなっています。
また、少額減価償却資産によって一度に経費計上した場合でも、固定資産税の課税対象となりますのでご注意ください。
固定資産の減価償却について詳しくは固定資産の減価償却方法のページ(準備中)を、また固定資産税については固定資産税のページ(準備中)をご確認ください。
たな卸資産の金額は、年末の「残り数量×単価」で算出しますが、この単価をどうやって決めるかはいくつか選択肢があります。
(通常は「最終仕入原価法」、他の評価方法に変える場合は事前に「所得税のたな卸資産の評価方法の届出書(準備中)」を提出する必要あり)
その中で、青色申告だけが選択できる評価方法があります。原価と時価を比較して低い方の単価を選ぶことができる「低価法」です。
たな卸資産の評価額が少なくなれば、その分所得が減るため節税につながります。
たな卸資産の評価について詳しくはたな卸資産の評価方法のページ(準備中)をご確認ください。
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